2012年

5月

06日

睡眠不足の弊害

睡眠不足によるダメージは、思っているほど深刻ではないと、ウェブ博士はいっている。
「実験で被験者を3日間眠らせないようにしたことがあるが、長期的なマイナスの影響は認められなかった。3日間まったく眠らない状態を続けると、被験者はその翌日には12〜13時間寝て、その次の日は10時間くらい眠り、それでほぼ完全に回復していく。24時間眠らずにいたら、その埋め合わせに24時間が必要だと思うかもしれないが、実際にはそうはならない。睡眠不足からの回復は、単純な足し算のようにはいかないのだ」

動物を使った実験では、ラットに睡眠をまったくとらせないようにした場合、13日後に急激な衰弱状態に陥っている。しかし研究者によると、その理由は睡眠不足のためなのか、あるいは絶え間なくストレスを与え続けたからなのかは、わからないという(たとえばある実験では、ラットが眠りかけると、水中に落ちてしまう仕掛けが用いられていた)。人間の場合は、眠らせない状態にしておくことはずっと難しい。睡眠不足が限界に達すると、もう起きていられなくなり、人間の場合はそこで実験は終了してしまうからだ。こうした理由から、人間については、長期的に睡眠不足が続いた場合の影響についてははっきりとわかっていない。
短期的な睡眠不足の影響としては、はっきりわかっているのは次の2点だけである。一つは朝、起きるのがつらくなること。もう一つは、意識的に注意力を要するような作業(単調で刺激の少ない作業)では集中力を保つのが難しくなることだという。

アスリートへの影響

では、運動を行う人にとっては、睡眠不足の影響はどうなのだろうか? 毎日1時間以上トレーニングしている人の場合、睡眠不足でも問題は生じないのか、以下の点について見ていこう。
●アスリートの場合、必要睡眠時間が一般の人とは違うのか?
この問題をあつかった研究は今のところないが、ハードな運動を行うとレム睡眠(浅い眠り)が抑制されるようだと、オールダーズ博士は述べている。実際、運動はうつの治療法にも取り入れられており、このことからも運動を行うと気分が高まる理由がわかるはずだ。ただし、必要以上に睡眠をとると、逆効果になってしまう。
●筋肉を回復させて、成長させるために必要な睡眠時間は?
オールダーズ博士は次のように答えている。
「睡眠時間を多くとるほうが回復が促進され、筋肉の成長がうながされるとした研究はまだないかもしれない。しかし、睡眠時間が多すぎると熟睡できなくなり、よく眠れなくなり、そのために疲労や、さらにはうつ状態につながる可能性もある」
●アスリートが「超短時間仮眠テクニック」を使用した場合の影響は?
スタンピ博士によると、この点について調べた研究はまだないが、運動は眠りの質を高め、より効率的に睡眠をとれるようになることから、アスリートのほうが一般の人よりも質の高い眠りをとりやすく、このテクニックを効果的に利用できる可能性が高いだろうとしている。

睡眠・覚醒時間の質を高めるために

以上説明してきたことをふまえたうえで、起きている時間の質を高めるとともに、睡眠をより効率的にとるためのポイントを紹介しておこう。
●仮眠をとる
長時間眠る必要はない。オールダーズ博士によると、ごく短時間(5〜7分)の仮眠をとる方法がベストだという。仮眠をとる時間が長すぎると、マイナスの結果につながるおそれがある。脳の働きを目覚めさせるのにより時間がかかるようになり、目覚めてから最長1時間くらい疲労感が残り、すっきりしない状態が続くこともあるからだ。さらにスタンピ博士は、自分の概日性リズム(1日の生体リズム)を知ることも重要な点であると指摘している。
「自分の体の働きを知るためには、試行錯誤が必要になる。いろいろな時間帯に、長さを変えて仮眠をとるようにしてみて、自分にはどの方法がいちばん適しているのかを見つけるようにしよう」
●カフェインを摂る
意外かもしれないが、眠りの質を高めるために役立つ。カフェインを摂取すると、アデノシン(睡眠をうながす化学物質)の働きが抑えられ、ドーパミンの分泌が増える。ドーパミンは気分を高揚させる作用を持つ化学物質で、レム睡眠を減らすことで、うつ(気分の落ち込み)を防ぐ効果が認められている。ただし、カフェインの作用が消えるまでには2〜3時間かかるので、仮眠や夜の就寝前には摂らないこと。
●運動を行う
「運動を行うと睡眠の質が高まることが、研究で認められている。運動自体にも効果があるが、それだけでなく、運動による体温の上昇とその後の低下が眠りの質の向上につながるからだ」とスタンピ博士は説明している。「運動を行うとエンドルフィン(訳注:脳内ホルモンの一つで、快感をもたらす)が分泌され、その結果、覚醒状態の質の向上につながる可能性がある。運動を行うタイミングも重要になる。朝に運動すると、しっかりと目が覚めて集中力が高まり、そのあとに眠くなることはない。一方、午後遅い時間帯に運動すると、そのあと眠りにつきやすくなると考えられる」

*  *  *

結論をいうと、睡眠時間を少なくすることは、実際に可能だということだ。そして睡眠に関する研究がさらに進めば、いつの日にかは「睡眠をまったくとらなくてもいい方法」が見い出される可能性がないともいえない。しかし、そんなことを目的にする必要があるのだろうか? ウェブ博士は次のようにいっている。「忙しい生活のなかで、毎晩絶対に8時間以上睡眠をとらなければと、やっきになる必要はない。しかし、眠るというのはとても気持ちのいいことだ。できるだけこの時間を十分に楽しむようにしよう」

クリス・キャンダー Chris Cander



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2012年

3月

03日

腰の不調を改善するための運動

腰の不調を改善するための運動


Image

膝倒し(両脚)

1 仰向けになります。この時、両腕は軽く開き両膝を約90度に曲げておきましょう。

2 両膝を左側に倒します。

3 両膝を真ん中に戻し右側に倒します。

4 2~3の動作を繰り返します。


ポイント:両膝を倒すときに肩が床から離れないようにしましょう。
呼吸を止めないように注意し自然な呼吸を繰り返しましょう。


回数の目安:5往復~10往復

Image

膝倒し(片脚)

1 仰向けになります。この時、両腕は軽く開き両膝を約90度に曲げておきましょう。

2 左脚を右脚の上にのせ脚を組みます。

3 両膝を左側に倒します。この時、肩が床から離れないように注意しましょう。

4 両膝を真ん中に戻し右側に倒します。

5 3~4の動作を繰り返します。

6 脚を組み替えて同様に行います。


ポイント:両膝を倒す時に肩が床から離れないように注意しましょう。
呼吸を止めないように注意し自然な呼吸を繰り返しましょう。


回数の目安:5往復~10往復

 


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2012年

2月

14日

上半身を鍛えることの健康効果その2

高齢者の転倒とロコモ
現在、高齢の方が要介護になる原因の第1位は脳卒中(29%)ですが、第4位に転倒・骨折があり、その割合は約11%、数では年間約12万人に上るとされています。
転倒に関連する要因にはさまざまなものがありますが、アメリカ老年学(2001)の調査によれば、最も影響の強い要因が筋力低下で、バランス障害、関節炎などが続きます。
こうした流れを受けて、2007年に、「ロコモティブ・シンドローム」(通称「ロコモ」)という病名が提唱されました。
日本語では「運動器症候群」といい、「筋、骨、関節などの運動器の障害や機能低下により、要介護となるリスクの高まった状態」と定義されます。
したがって、介護予防のためには、これらの運動器の機能を、なるべく早いうちから維持・向上することが重要です。
しかしこの場合でも、中心となるのは、「足腰体幹」で、上半身の筋力はあまり関係ないように見受けられます。
実は、上半身の筋力は、「転んでしまった」ときに威力を発揮します。(③へ続く)

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士
Kentaiニュース197号(2011年11月発行)より転載

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2012年

2月

12日

上半身を鍛えることの健康効果その1

上半身を鍛えることの健康効果①

これまで何度か、「筋肉を鍛えることが健康にとっていかに重要か」ということをお話ししてきました。
特に、大腿前面(大腿四頭筋)、殿筋群、腹筋群、下背筋群などの筋肉は、加齢よる萎縮が著しい上、日常生活動作において重要なはたらきをするため、「健康長寿のためには、足腰体幹を鍛えましょう」と主張してきたと思います。
一方、足腰体幹のトレーニングは概して、「地味で単調できつい」というのも正直なところです。
上半身のトレーニングの方が、多様で面白く、また目に見えて効果も出やすいでしょう。
実際、「筋トレ」というと、胸、肩、上腕などの種目が連想されると思います。
反面、これらの筋は、下肢筋と比べて加齢による萎縮の程度が低く、また「立つ」、「歩く」などの日常生活動作にも直接関連しないことから、健康との関連で語られることはありませんでした。
そこで、これらの筋肉を鍛えることが健康面でどのようなプラス効果をもたらすかについて、まず介護予防の観点から考えてみたいと思います。(②へ続く)

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士
Kentaiニュース197号(2011年11月発行)より転載

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2012年

1月

28日

魔法のようなジョギング法

「速筋」を使わず、持久力の「遅筋」だけで走れば、マグロが大海原で泳ぎ続けるかのように、長~く走ることができるのです。

遅筋だけを使う唯一のポイントは、歩くくらいのスピードでゆっくり走ること。
今回、時速4キロの同じスピードで、ウォーキングとスロージョギングの消費エネルギーを比較したところ、なんとスロージョギングの方が1.6倍も多い

歩くくらいのスピードでゆっくり走ること。「スロージョギング」です。
平均的な40代の場合、時速4~5キロ以下で走れば遅筋だけで走れるのです。
もし、1日20分、1年間、毎日スロージョギングをした場合、消費エネルギーは脂肪5.0kg分になります。これはウォーキングのおよそ倍。
この差が体重減につながるのです。

ポイント(1)背筋を伸ばす
ポイント(2)やや前傾姿勢
ポイント(3)足はけらずに押すだけ
ポイント(4)ニコニコ&おしゃべりしながら
ポイント(5)きついと感じたら歩く
ポイント(6)1日30分を目標に!
  (10分×3回など細切れでもOK)

※ヒザに炎症のある方へのご注意
痛みが出るようなら行わないでください
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20090610.html
ためしてガッテンより転載

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2012年

1月

27日

運動だけが確実にガンを予防する

■運動だけが確実にガンを予防する
やっかいなことに、ガン細胞は全身あらゆる場所に発生します。
内臓ばかりでなく、骨や皮膚、脳や血液にも発生するのです。
「どのような生活をすればガンにならいか」というテーマで多くの研究結果が発表されています。
国立がんセンター、米国ハーバード大学などで疫学調査を続けられた東北大学の坪野吉孝教授は「明確にガンを予防するのは適度な運動だけ」と報告されています。単に歩いたり、走ったりするだけでも良いのですが、理想はやや強めの筋力トレーニングです。
したがって現在ハードに筋トレをしている方々も、今後60才以上になってもムリのない筋トレを継続することがお勧めです。
筋トレをすることは血液循環を良くし、体温を上げ、免疫力を高めます。ガン細胞の発生や増殖を防ぐ効果があることはよく理解できます。
食事の面で一時「アガリクス、メシマコブ、フコイダン、霊芝、サメ軟骨などがガンの予防や治療に効果がある」といわれましたが、現在の医学ではまったく承認されていません。また、「食物繊維をしっかり食べれば大腸ガンにならない」ともいわれましたが、大規模な疫学調査で否定されています。
とはいえ、食品に含まれる超微量な化学物質、フィトケミカルの持つ健康効果を無視してはもったいないのです。

野沢秀雄 Kentaiニュース195号(2011年4月発行)より転載

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2012年

1月

25日

睡眠時間が短い人のほうが太りやすい?

「睡眠時間が短い人のほうが太りやすい」と聞きました。寝ている間より、起きているときのほうがエネルギーを多く消費するような気がするのですが……。


確かに横になって眠っている間の消費エネルギーは、起きて活動しているときより少なくなります。これだけを考えると、寝ている時間が短いほうが1日の総消費エネルギーが多くなるので太りにくいことになります。ところが、アメリカで行われた調査で、一晩の睡眠時間の平均が7〜9時間の人と比べた肥満のリスクは、4時間未満の人では73%高く、5時間の人で50%、6時間の人でも23%高いという結果が出ているのです。理由としては、起きている時間が長くなると、食べたり、飲んだりする量も多くなり、消費エネルギー以上に摂取エネルギーが増加するからではないかと考えられます。
では、起きている時間が長くなっても、食べすぎないように注意すれば太らないはずだと考えるかもしれません。
短い期間を考えればそうかもしれません。しかし、前述した調査のように、実際に睡眠時間が短い人は肥満のリスクが高いという結果が出ています。この原因として、睡眠と、食物摂取をコントロールする体のさまざまな機能との間に関係があることがわかってきました。
その一つとして、睡眠時間の長さと血液検査の結果を照らし合わせた研究で、睡眠時間が短い人は、血液中のレプチンという物質の量が少なく、グレリンという物質が多いことが明らかになっています。レプチンは脂肪細胞でつくられるホルモンで、満腹になったという信号を脳に送り、摂食をストップさせるように働きます。平均睡眠時間が5時間の人では、このレプチンが平均睡眠時間が8時間の人と比べて15.5%少なくなっていました。
一方、グレリンは主に胃でつくられ、摂食行動を促進するホルモンです。このグレリンは、睡眠時間が5時間の人のほうが14.9%多かったのです。レプチンが少なくても、グレリンが多くても、食欲が増すことになります。

ホルモンに勝つ?
レプチンによる食欲を抑える働きが弱く、グレリンによる食欲を高める働きが強くなれば、食べる量、飲む量が増えるでしょう。夜遅くまで起きていると、夜食を食べる機会が増えるというだけではないのです。このようにホルモンの量が変わっていれば、朝、昼の食事でも満腹感が感じられるまでに時間がかかり、より多く食べるようになったり、間食が増えたりする可能性も高くなります。自分では食べ過ぎないようにしようと決めていても、ホルモンの働きで脳が満腹とは感じず、「もっと食べよう」という信号が出ているわけですから、食べずにいるのは難しいでしょう。
このように、体を取りまく条件に応じて、体内ではさまざまなホルモンの働きが変化し、その結果として体の状態が変わります。「意志を強く持って、食べないようにしよう」とがんばるだけでは解決しないかもしれません。睡眠時間を含めて生活を振り返り、「食べたい」と感じさせない条件を整えることも考えてみましょう。

 

 
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2011年

10月

31日

毎日体脂肪を計るたびに数字が上下しているが……なぜ?

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2011年

10月

27日

よい姿勢の真実はこれだ、1・2・3!!

■よい姿勢とは
            H.S.S.R.プログラムス 主宰 魚住 廣信
xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
  「テロメア」と言う言葉を聞かれたことのある人は少ないと思います。
  姿勢については、いろんな考え方があります。私は「自然体」というこ
 とをこれまで話をしてきましたし、虎の巻にも詳しく書きました。自然体
 の定義は、これだという正式なものがなく、その日と個人の定義によるも
 のだと思います。何を持って自然体とするのか、その自然体であればどう
 なるのか、といったことを自分なりに定義しておく必要があります。身体
 調整も、トレーニングも基本は自然体を獲得することにあると思います。
  それで今回紹介するのは、歯科医師の山下久明氏が書かれた「背筋は伸
 ばすな-姿勢のメカニズムとその治し方-(にしきデンタルオフィス20
 10)」の中から、良い姿勢について書かれたところを紹介したいと思い
 ます。歯の並びとかみ合わせはよい姿勢のために絶対的な条件であるとさ
 れています。参考になるところが多いと思いますので、興味のある方はぜ
 ひ著書をお読みください。

 『悪い姿勢については、ねこ背とか、ガニ股O脚とかがありますが、良い
 姿勢については明確な定義がないように思います。そもそも良い姿勢は場
 面に応じて変わるはずです。ファッションモデルなら衣装のラインを美し
 く際立たせる姿勢でしょう。ソロダンサーなら舞台から圧倒的存在感を放
 つ姿勢かもしれません。舞台俳優なら悲しい姿勢、歓喜の姿勢など状況に
 応じて使い分けなければいけないかもしれません。
  また姿勢に対する考え方も人それぞれでしょう。例えば小学生に「気を
 付け」と言えば背中を一直線に伸ばして、体を後ろに海老反らせたような
 姿勢をとります。大人が見れば微笑ましいけれど、それは良い姿勢である
 とは言い難いものです。しかし小学生にしてみれば、背筋を伸ばして一生
 懸命に姿勢を良くしようとした結果なのです。
  大人でも背筋を伸ばすことが良い姿勢だと考える人が多いものです。「
 背筋を伸ばす」とは腰椎を曲げて上体を引き起こすことを言います。また
 胸椎は直線的になりやすくなります。結局これは小学生の「気を付け」と
 大差がありません。腰椎のカーブは胸椎のカーブを補正するためにあるも
 ので、それ以上海老反らせるべきものではないのです。また胸椎のカーブ
 は肺の容量を確保するためにあるのです。そもそも背骨には太い神経が通
 っていますので、無理に曲げれば体に良い影響はありません。その点「気
 を付け」の姿勢は腰椎を無理に海老反らせることになってしまうのです。
 胸の厚さや人種の差はあるかもしれませんが、壁に背中をくっつけて、腰
 と壁の間に、手のひらを抜き差しできるほどすき間があるのは良くありま
 せん。とはいえ腰椎を曲げて上体を起こすことこそが、正しい姿勢である
 と考えている人はたくさんいます。』

 『ヒトが直立するには何はともあれ前のめりにならない位置へ重心を持っ
 てくる必要があります。重心が後ろ過ぎればひっくり返ってしまいますが、
 前過ぎれば膝と股関節が曲がってしまいますので、直立とは言えなくなっ
 てしまいます。そのような状態はどの定義に照らし合わせても、良い姿勢
 とは言えないでしょう。
  こうして考えると、ヒトは微妙なバランス感覚を持っていないと直立で
 きないことが分かります。しかしヒトの弱点は、重い頭が体のもっとも高
 いところにあることです。
  頭の重さはボウリングのボールほどだと言われています。ボウリングの
 ボールには重いボールも軽いボールもありますから、ずいぶんいい加減な
 例えですが、頭の重さも人それぞれなのでここではこの例えで済ませてお
 きます。どちらにしてもボウリングのボールは軽いものではありません。
 そういう重量物を上半身の一番高いところにのせているのです。これでは
 バランスをくずしやすくなっても仕方がありません。
  結局のところヒトが姿勢を悪くする原因は、頭の位置づけの失敗と考え
 られます。しかし悪い姿勢にはいろいろなバリエーションがあるので、そ
 れらを頭の位置づけの問題として、一括して片付けるのは良くないという
 意見もあるでしょう。しかしそうした悪い姿勢のバリエーションは、体が
 少しでも楽をするための防御反応と考えれば良いのです。
  再び重い荷物を抱えている人のことを思い浮かべてもらえば、膝と股関
 節が曲がっているのに加えて、足のつま先が開いてガニ股になっているの
 が分かると思います。つまり前方へ重心が偏ると、足はガニ股O脚になる
 のです。
  膝を無理やりくっつけてO脚を治そうとする人もいますが、O脚の原因
 は股関節が曲がっているためなので、こうした治し方は間違っているので
 す。むしろすべきことは、姿勢そのものを治すことです。もしも膝が妙な
 角度に曲がってしまえば、姿勢を直したときに変なことになります。膝に
 限らず、こうした単純な治療法で姿勢を治してしまうと、何か腋に落ちな
 い姿勢になってしまいます。
  機械を修理する時には使用している部品が悪いのか、組み立て方が悪い
 のか、あるいは使い方が悪いのかを見極めて修理しなければなりません。
 人の体には自己修復機能があるとは言え、機械のように部品の交換はでき
 ません。ですから、体の一部を、無理やり曲げたり伸ばしたりする時には、
 当然慎重になる必要があります。どちらかと言えば、それはすべき事では
 ないのです。それはさておき、ねこ背で頭が前方へ傾けば、それがガニ股
 O脚を呼び込み、悪い姿勢の基本形ができ上がります。
  しかしこのガニ股O脚はいわばスクワット運動ですから強い筋力が必要
 です。男性や若い女性なら、そのままガニ股O脚というスクワットをやり
 通すことも可能ですが、筋力がない女性は何とか直したいし、男性ならと
 もかく、そもそもそんな姿勢は見た目が悪すぎます。
  重心が狂っている限り膝を伸ばすことはできませんが、膝を外側から内
 側へ移動させて内股X脚にすれば、おしりを突き出せますので重心を後ろ
 へ下げられます。すると膝をかなり伸ばせますので楽ができます。これが
 内股X脚姿勢です。まさにガニ股O脚に対するコペルニックス的転回です。
 確かにこれで体は楽にはなりますが、多くの場合、おしりを突き出した分、
 腰椎に負担をかけてしまいます。
  ただ注意してもらいたいのが、姿勢が悪い人の内股と、姿勢の良い人が
 着物を着た時に行う内股とは根本的に異なることです。偶然にも内股姿勢
 はスキーのボーゲンに似ています。スキーをハの字に開いて制動をかけ、
 斜面の影響で前のめりになる重心に対して腰を落とすあの滑り方です。同
 じボーゲンでも初心者のボーゲンと上級者のボーゲンでは安定感において
 雲泥の差があります。同じように姿勢の悪い人の内股と、姿勢の良い人の
 内股ではやはり違うのです。
  ともかく前すぎる重心は後ろへ移動させないと体は楽ができないのです。
 そこで重心を後ろへ下げる方法としては、下腹部を突き出して体全体を後
 ろへ海老反らせる方法もあります。こうすれば上半身の重心が後ろへ下が
 りますので、その分は膝を伸ばして楽ができます。
  重心を移動させて少しでも楽をする方法としては、背骨を利用する方法
 があります。背骨は非常に柔軟にできていますから、重心をインスタント
 に移動させられます。一番簡単なのが、腰椎を海老反らせて上半身の重心
 を後ろへ移動させる方法です。この方法は背筋が伸びた感もあって、いか
 にも姿勢が良くなったような気がすることが特徴です。ですからついやり
 すぎて腰椎を不自然に曲げてしまい、腰痛などの体の不調を引き起こしや
 すくなります。最悪、椎間板ヘルニアを引き起こしてしまうことすらあり
 ます。
  そして背骨を利用する二つ目の方法は、胸椎を利用する方法です。胸椎
 の前にある肺の容量を増やすために胸椎は後ろへ膨らんでいます。この重
 要な胸椎のカーブを伸ばして頭を後ろへ移動させ、重心のバランスを取る
 方法があります。肺活量は2000から4000ミリリットル。1回の呼
 吸量は約500ミリリットル程度と言われています。激しい運動をしない
 人にとっては十分に余裕があるように思えますが、この無駄とも思える余
 裕は血液のペーハーバランスを保つためにも必要なのです。これは後で論
 じるにしても、呼吸という重要な機能に直接かかわる胸郭の容量を減らす
 ぐらいなら、頭そのものを後ろへ傾けた方が、簡単で手っ取り早いと誰も
 が考えるはずです。しかし、そうはいかない事情があるのです。それがで
 きるなら、姿勢が悪くなるという現象は、そもそも起こらないのです。
  腰椎を海老反らせ、胸椎を伸ばして胸を張れば、ちょうど小学生に「気
 を付け」を命じたときにするあの格好になります。「気を付け」の格好は
 いかにも不自然ですが、腰椎を海老反らせるか胸椎を伸ばすかのどちらか
 にすれば意外と自然に見えます。むしろ背筋が伸びて姿勢が良い人だと認
 識されるかもしれません。それどころか、そうすることが正しい姿勢の矯
 正方法だと思い込んでいる人も少なくはありません。反対に猫背は誰でも
 分かりやすい姿勢の悪さです。猫背で丸まった背中を見て、背中が曲がっ
 ているから姿勢が悪いと単純に判断してしまう人が多いため、間違った姿
 勢の矯正方法が信じられてしまうのです。
  あくまでも悪い姿勢の原因は、頭の位置づけの失敗です。ヒトの体の欠
 点は重い頭が最上位にあることですが、逆にこの頭の位置さえ制すれば重
 心バランスを取ることができるのです。治すべきものは背骨ではありませ
 ん。一直線上にならんだ脛骨と大腿骨、そしてその延長線上に頭を持って
 いくことです。頭の位置が悪ければ、柔軟性のある背骨は曲がってしまう
 ために猫背になるだけの話で、決して背骨が曲がっているから猫背になる
 わけではありません。』


2011/10/27

・HSSRプログラムスのニューレターより転載

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2011年

9月

14日

体脂肪と健康

体脂肪と健康
体脂肪を敵とするのは、アスリートだけではありません。
一般人にとっても、過剰の体脂肪は体型を崩すばかりでなく、健康を脅かします。
ご存じのとおり、肥満は虚血性心疾患、脳血管障害、糖尿病などの生活習慣病の危険因子とさ
れています。
このことは主に、肥満とこれらの病気の罹患率の関係を調べた疫学的研究から裏付けられてい
ます。
一方、肥満がこれらの病気を引き起こすメカニズムについては、実はあまりはっきりしておらず、
これまで複雑で難解な機構が提唱されてきました。
専門家でさえ、「太り気味だとなぜ悪いの?」と正面切って問われると、答えに窮するかもしれま
せん。
ところが最近、脂肪組織が内分泌器官でもあり、さまざまなホルモンを分泌することがわかってく
ると、脂肪と健康の関係がより明確になってきました。

痩せるホルモン:レプチンとアディポネクチン
脂肪組織は主に脂肪細胞からできています。
10年ほど前、この脂肪細胞が「レプチン」というホルモンを分泌することが発見され、「体脂肪は
内分泌器官である」ということで大変な話題になりました。
このコラムでも何回かご紹介したとおり、脂肪細胞が中性脂肪を蓄積するとレプチンを分泌しま
す。
レプチンは中枢にはたらき、食欲を低下させるとともに交感神経を活性化して脂肪分解を促し、
太り始めた脂肪細胞を痩せさせます。
一時、「究極の痩身薬」として注目されましたが、残念ながら通常の肥満では、レプチンの分泌量
自体も多いことがわかりました。
その後、「アディポネクチン」という新たなホルモンが発見され、これが肝臓や骨格筋にはたらい
て脂肪酸の代謝を高めることがわかりました。
これらの2つのホルモンは、全身にはたらいて脂質代謝を改善する、いわば「善玉のホルモン」と
考えることができます。

糖尿病を引き起こすホルモン:レジスチン
一方、最近になって、からだに「悪さ」をするホルモンも脂肪細胞から分泌されることがわかりまし
た。
「レジスチン」と名付けられたこのホルモンは,脂肪細胞自身や肝臓、骨格筋などに対するインス
リンの作用を阻害します。
通常であれば、血糖が上がると膵臓からインスリンが分泌され、インスリンは肝臓、骨格筋、脂肪
組織にはたらいて糖の取り込みを刺激し、血糖を下げます。
一方、レジスチンが多いと、このインスリンの作用が阻害されるため、インスリンが分泌されても
血糖が下がりにくいことになります。
このような状況を「インスリン抵抗性」と呼びます。
インスリン抵抗性の原因となることから、「レジスチン」という名前がついたわけです。
インスリン抵抗性は、生活習慣病である II型糖尿病の初期段階です。
すなわち,「脂肪細胞は糖尿病を引き起こす物質を分泌する」ということができます。

心筋梗塞を引き起こすサイトカイン
脂肪細胞はまた、さまざまなサイトカイン(元来,白血球から分泌される局所性ホルモン様物質)
を分泌することもわかってきています。
その中で、インターロイキン-6 (IL-6)、TNF-α(腫瘍壊死因子-α)、PAI-1(プラスミノーゲン活性化
抑制因子)などが注目されています。
これらは本来、炎症反応に関わる因子で、IL-6 や TNF-αは動脈の内壁に過酸化脂質を沈着さ
せ、動脈を狭く、固くします。
PAI-1 は、血液凝固を促進し、血栓を生じさせやすくすると考えられています。
これらのことから,「脂肪細胞は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす物質を分泌する」ということが
できます。
少々乱暴な表現をすると、体脂肪が蓄積すると、「全身の血管が炎症のような状態」になるといえ
るかもしれません。

内臓脂肪か皮下脂肪か
これらのホルモンやサイトカインは、主に皮下脂肪と内臓脂肪のどちらから分泌されるのでしょう
か。
少なくとも TNF-α や PAI-1 などについては、内臓脂肪のほうが分泌活性が高いことが示唆され
ています。
これには、内臓脂肪の生い立ちが関連しているかもしれません。
内臓脂肪はおそらく、骨髄由来の多能細胞(いろいろなものになれる細胞)がつくる、比較的幼若
な脂肪組織と思われます。
その分、さまざまな物質をつくる能力も発現しやすいものと考えられます。

脂肪の増えすぎが問題
レジスチンやPAI-1 も、脂肪組織内で局所的にはたらいていれば、脂肪細胞への糖の取り込み
を抑制することで、脂肪組織自身が太りすぎるのを防止する、有用な物質です。
いわば、脂肪細胞の「満腹のサイン」といえます。
しかし、それにもかかわらず過剰のエネルギー摂取によって、体脂肪が体の30%というような量
になると、それらの影響が全身に波及すると思われます。
従って、常に脂肪組織に「エネルギー備蓄のための余力」をもたせておくことが重要なのでしょう。

石井直方 東京大学大学院教授 理学博士

Kentaiニュース154号(2002年8月発行)より転載

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2011年

6月

18日

ジュニア選手のトレーニング①

筋力トレーニングを行うと身長が伸びなくなると言われていた時代もありました。
実際には、身長の伸びが止まるころに筋肉がつきやすくなるため、このような説が信じられていたのかもしれません。
発達のためにも、子どものころは様々な運動を経験させましょう。
ただし、小さいころからハードな練習をしている場合、それに見合っただけの食事量を取らないと、身長だけでなく各機能の発達にも悪影響を与えることが懸念されます。
運動量が多くなる場合は、栄養が不足しないように注意することが必要です。
昔は、遊びの中で必要な運動能力を習得していくことができましたが、現在は遊ぶ時間の減少や安全に運動できる場所や施設の不足等で、難しくなっているようです。
そのため、子どもには、計画的に発育段階に応じたトレーニング刺激を与えることが必要になってきます。
まず12-13歳くらいまでに神経系の発達が完了しますので、それまでにさまざまな動作を習得させることが大切です。
サッカーのリフティング等は、大人になってから身につけるのは難しいスキルです。
身体の動かし方や、力の入れ方、タイミングが要求されるからです。
自転車も子供のうちに乗れるようにしておく方が良いのは、この神経系の発達と関係があるからです。
小学生の体育の授業に、縄跳びもありますが、これも縄に合わせてタイミングよく飛ぶことが要求される種目で、この時期に習得すべきスキルだからです。
また、これら以外にも身体のバランスを取るような動作やタイミングをとる動作をいろいろな状況で経験させることが大切です。

中井敬子 
東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了/健康運動指導士/
2010年世界パワーリフティング選手権女子52kg8位

Kentaiニュース195号(2011年4月発行)より転載

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2011年

6月

16日

◆気圧の変化によっての体調の変化について

◆気圧の変化によっての体調の変化について

(じめじめしてくると体の古傷が痛む!体が硬くなる!)

雨が降ってきたり、くもり模様になってきますと気分がふさいできたり、古傷が痛みはじめたりすることがあります。
それは体の表面ではあまり感じられないことですが、梅雨の時期や雨降りが続いてきたりというときには湿度計をみますと70%~80%という数値を示します。通常では湿度60%(私は個人的には55%くらいが好みですが)を快適と感じておりますので、それよりもかなり高いということとなります。
湿度が上がることによって血液などの体液が粘着質の状態となります。そのために身体内の代謝機能がうまく働かなくなります!血液はさらさらしているときの方がスムースに末端細胞まで血液を運べます。なにせ身体の末端の毛細血管は太さが0.5mmもないものですから粘性が出てきてしまうと行渡りにくくなるのです。気圧の変化、湿度の変化などによりそれでなくても血液を運べにくくなるのに、身体の柔軟な組織体(筋肉、靭帯)からなる筋肉が硬化してしまっている場合は、普段から血管を圧迫して血行不良を起こしている状態に追い討ちを打ちます。よって、血行不良な状態を作り上げてしまい、古傷の痛みや身体の硬直度の高い人は精神的な面にも大きく左右することとなります。

したがって身体的になんらかのダメージを持っている方々にはつらい時期だということができるでしょう。また気圧の変化でダメージを受けるときには、身体内に血行不良の場所があるということを教えてくれていることとなります。簡単な対策として除湿機などで部屋の中の湿度を下げるようにしてみましょう。

ただしやっぱり気圧の変化にもあまり大きく左右されないだけの身体を日頃より持てるように努力することが大切です。インドの伝承医学アーユルベーダでは①健康な人がより健康にあり続ける(いつまでも若々しく若返りを)②病気になった人を回復させるの二つからなり、健康な人はより健康へという形の努力をすることを積極的に捕らえております。それがよいですよね。

 

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