これまで何度か、「筋肉を鍛えることが健康にとっていかに重要か」ということをお話ししてきました。
特に、大腿前面(大腿四頭筋)、殿筋群、腹筋群、下背筋群などの筋肉は、加齢よる萎縮が著しい上、日常生活動作において重要なはたらきをするため、「健康長寿のためには、足腰体幹を鍛えましょう」と主張してきたと思います。
一方、足腰体幹のトレーニングは概して、「地味で単調できつい」というのも正直なところです。
上半身のトレーニングの方が、多様で面白く、また目に見えて効果も出やすいでしょう。
実際、「筋トレ」というと、胸、肩、上腕などの種目が連想されると思います。
反面、これらの筋は、下肢筋と比べて加齢による萎縮の程度が低く、また「立つ」、「歩く」などの日常生活動作にも直接関連しないことから、健康との関連で語られることはありませんでした。
そこで、これらの筋肉を鍛えることが健康面でどのようなプラス効果をもたらすかについて、まず介護予防の観点から考えてみたいと思います。(②へ続く)
石井直方 東京大学大学院教授 理学博士
Kentaiニュース197号(2011年11月発行)より転載
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